アニメの話を他人とするときに何を話せばいいのか分からない。

アニメって面白いよな。

最初にアニメを見始めたのっていつだったのか。サザエさんとか、いわゆる国民的アニメだったら物心つく前から見ていたかもしれない。

覚えている限り一番最初に夢中になったアニメはチキチキマシン猛レース

 

もとはと言えば父親がよくアニメを僕に見せていた気がする。チキチキマシン猛レースも、父親がレンタルショップで借りてきた物を一緒になってずっと見ていたような気がするし。ルパン三世なんかがテレビでやるときはいつも一緒に見ていたし。

父親曰く「俺はルパン三世のファンクラブ会員なんだ」

僕がルパンにはまった頃はよく自慢された。

新作が日テレで放送されるたびに一緒に見て、終わったら面白かった面白くなかっただの一言だけ交わしていた。声優が変わったときは、沢城みゆきさんの声は褒めていたけれど、他はダメだなとか言っていた。特に銭形の声はお気に召していなかった。

 

しかし今、イタリアが舞台のルパンがやっているけど、それは一緒に見ていない。ルパンを一緒に見なくなったときは覚えている。

テレビシリーズの『峰不二子という女』からだ。最初の3話くらいは録画を一緒に見ていたけれど、あまりにも露骨な性描写を高校生と50近いおっさんが一緒に見るのはちょっと空気が重い。

二人ともそれを察して、言葉を交わしたわけでもないが、自然と別々に見るようになった。でも、感想は言い合った。

「ねぇ、あれでいいの?」

「俺が持ってたルパンの世界観がちょっと壊れたな」

 

母親もなんだかんだアニメが好きだったようだ。僕が小学生低学年の頃『機動戦士ガンダムSEED』を見ていた時は、横で「アムロとシャーいないの?」って毎週聞いてきた。

その後、宇宙世紀ガンダムをレンタルで見ていた時は「これこれ、私好きなガンダムは」とか言っていた。

母親は小さいころはガンダムを見ていたらしい。ちなみに父親はガンダムを見ていなかったようだ。

そういえば、母親は最近になってアニメ『銀魂』の新シリーズが始まっていたことを知って、僕になんで教えてくれなかったのかと怒った。

 

こんな風に、僕にとってのアニメは以前、親とのコミュニケーションツールだった。感想は、面白いか面白くないかの二つしか言ってなかったけど。

 

 

今では深夜アニメを見ている。

見始めたのは、小学生高学年あたりだったと思う。最初に見たのは『魔法少女リリカルなのはA's』だった。たまたま深夜にテレビを付けたらやっていた。無印を見ていなかったのにすごくはまったのを覚えている。

何が当時の僕の心をつかんだのだろうか。

よくわからないが、それからよく深夜に一人で起きて、自分の部屋にある小さなブラウン管でアニメを見るようになった。隣の部屋の姉が起きないように、安いイヤホンをテレビに接続して、テレビの明るさを出来る限り抑えて。

この深夜のアニメ鑑賞は、誰かとのコミュニケーションのためではない。ただ、娯楽を求めて、三大欲求のひとつである睡眠時間を削っていた。

 

 

当時小学生の僕は、無意識のうちにそういう、美少女が破廉恥な感じになるアニメを見ているなんていうのは気持ちわるいことだと理解していたのか、学校の皆にはもちろん、親にも秘密にしていた。レンタルショップで深夜アニメを借りてくるようになってから親は、息子がアニメ好きだと気付いたようであったが、とても寛容な家庭だったようで、最初のうちは「これ面白いの?」なんて言いながら一緒に見たものだった。すぐに見なくなったが。

 

 

というわけで、中学に進んでも深夜のアニメ鑑賞は続いた。同級生には一切話さず。同級生とするアニメの会話と言えば、日が出ているうちに放送する遊戯王くらい。

それも、アニメの内容の話ではなく「アニメのあのカードがOCGになったら強くね?」といったものだった。

 

 

そんな生活が続くのかと思ったら、転機が訪れた。

高校生になり、周りの人が一新した。

するとなんということか。自己紹介で「趣味はアニメ鑑賞です」とかいう人間がたくさんいたのだ。

驚いた。僕も調子に乗って「アニメ、よく見ます」とか言ってしまった。

その後すぐに「どんなアニメ好き?」って聞かれたけど、恥ずかしくって「リリカルなのはシリーズが好き」とは言えずに「銀魂」と答えたのはいい思い出である。

 

まぁ、すぐに深夜アニメの話題になって、結局はそういうお友達がたくさんできた。

 

どんな話をしていたんだっけか。それが思い出せない。

長門かわいい」とか言っていたのかな?

何しろ、当時はアニメの話を他人とたくさんできた。

 

 

そして今、アニメの感想を言い合うことができない。

「このアニメ面白いよね」

「うん」

「・・・」

「・・・」

 

会話が途切れてしまう。

 

後になって、感想をレビューという形で文字に残すと1500字くらいは書けているのに、その場では何も言えない。

何を言ったらいいかわからない。

 

多分、頭がよさそうな感想を言わないとだめだとか無意識に思っちゃっているのかな。と、今、意識した。

 

 

アニメの話永遠としている人って何をしゃべっているの?

僕も高校生の頃は永遠としゃべっていたのに、何を話題にしていたんだろうか。

 

 

今となっては、もはや、アニメはコミュニケーションツールになっていない。でも見ている。

こう考えると、今の自分って純粋にアニメを楽しんでいるのではないのだろうか。

あ、これって小学生の頃の自分じゃね?

後5年くらいしたらまたアニメで永遠としゃべることができるようになるのかな。

 

 

 

 

あっ、今期は無際限のファントム・ワールドが一番面白いですね。水無瀬小糸ちゃんかわいいよね。