雲の隙間から太陽が落ちてきて太平洋が干上がった。

やばいことに足を突っ込んじまったようだ。

 

 

 

ある日テレビで簡単なストレッチを紹介していたんだ。手を挙げて,足を開いて~みたいなやつ。

これができないとあなたは50代って言われた。

 

 

さすがにそれくらいできるだろって,テレビに出てる人と一緒にやってみたら伸ばした部分 (太ももの裏) に激痛が走った。軽く悲鳴を上げるレベルで。テレビに出てるおばさんは痛い痛いって言いながらもなんとかできるのに,自分はその後立ち上がるのが困難な程。

 

いや,まだ今年で24歳の若者なのに。

 

 

前からだけど体はずっと硬くて,長座体前屈なんか最初の体勢で限界なんじゃないかってくらいだったし。

 

それに加えて,最近はずっと引きこもっていると来た。これは運動をしなくてはいけないなぁって思って,外に出た。

 

 

これがすべての始まりだったんだ。

こう見えて,中学時代は駅伝選手。あの太ももが丸見えなユニフォームを着てアンカーを走った経験だってある。

運動神経は良い方だと思う。

 

 

だから走り始めればすぐにあの頃を取り戻すことができるって。

まぁ今じゃあの頃どころかその頃も失ってしまったわけだが。

 

 

 

話を戻そう。体の衰えを感じて恐れた僕は外に出て走り始めた。最初はゆっくりウォーキングをして体を慣らす。

 

さて,そろそろ本格的にランニングをといった時,やつが接触してきた。すでに日は暮れていて,人通りは少ない。

 

突然背後から声をかけられた。

「●#▲*-だな」

何を言っているかよくわからなかったが,周囲には自分と声を発した人間しかいない。

 

 

街を歩いていると変な勧誘の人に声をかけられることは多くあり慣れていた。慣れた僕の対応は一つ,しかとすることだ。

 

気づかないふりをして,僕は走り出した。すると横道から一台の車が出てきて進路をふさいだのだ。

 

 

背後からはさっきの人間がおってきている。

 

僕はその場に座り込んだ。

「+e2"§! やめてくれ!」

なぜかそんな声が出た。何を言ったんだか自分でもわからなかった。こうして文字に起こそうにも難しい。多分,一番良い表現がこれだろう。

 

「●#▲*-,おとなしく我々に協力した方がいい。お前はこちら側の存在だ」

「〇#▲※-って何なんだよ。そんな奴知らない」

「●#▲*-だ。自分の名前くらいしっかり思い出せ。それにこの時間,この場所にやってきた。覚えているはずだ」

「こちら側ってどういうことだよ。俺はただ堅い体をほぐして,昔の運動神経を取り戻したいだけだ」

「ならなぜ,+e2"§を知っている? これこそお前がこちら側であることの証明じゃないのか」

何も返せなかった。

「+e2"§」と声に出たのは,言ってみれば鳩尾を殴られて「ウッ」と声が出るようなものだとその時には認識していた。

 

 

「まぁいい。そのうち思い出すだろう。一つ目は見つかった。あとは&#45@と‰(⇔ジャがそろえば言うことはない」

誰のことを示しているかわからなかったが,誰かを探していることは分かった。

 

 

「それと組織のことは……言うまでもないか。それじゃ次の報告期待している」

 

 

 

いつの間にか飛び出てきた車と追ってきた人間は消えて,走った後の足の痛みだけが残った。逃げたことは本当なのだと実感した。

 

 

次がいつなのかわからない。しかし,おそらくこのことを知るものは消されるだろう。僕が&#45@と‰(⇔ジャを見つけることができなければ。

 

 

&#45@と‰(⇔ジャ,どんな奴か知らないが,ここを確認しているのだろう。自分が何なのか探そうじゃないか。

 

あいつは言ってた,僕が「この時間,この場所にやってきた」と。意識的には分かっていないのかもしれないが,それこそ内に眠る何かがそうさせたのではないか。

 

 

今思うと,自分の存在している理由がよくわからない気がする。これまで自分が名乗ってきた物は本当の自分ではなくて,●#▲*-という存在を隠す器だったのか。

 

 

 

僕たちはこの世界を脅かす存在なのか,守る存在なのかすら分からない。まだピースが足りないのだろう。だからこうして覚醒の時を待っている。

 

 

なぜだろうか,こうして出来事を書いていると思い出せそうな気がする。&#45@と‰(⇔ジャよ。

俺たちは,空を一つに