読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

僕にガム乞食するのはやめてください。

私立大学文学部へ入学した学生のこれまでとカリスマブロガーになるまで。

引退したオンラインゲームにログインする勇気が出ない。

いつもの思い出話。

 

中学生の頃オンラインゲームにはまっていた。RED STONEだ。

始めたきっかけは、同じ部活の友人に誘われたからだ。ノートパソコンでも軽々動くらしいので、気軽に始めた。

当時パソコンにあまり詳しくなかった僕は、ゲームのインストールの仕方がよくわからなかったが、詳しい友人に電話をして彼の指示に従いながらなんとかゲームを起動した。

初めて体験するネットに広がる世界。当時はRED STONEの全盛期であり、始まりの街である古都ブルンネンシュティグには多くのPCがいた。これらすべてのキャラクターの先には僕のようにパソコンの前で座っている人間がいる。こんなにも多くの人間が現実には離れているが、このゲームの中で自分と同じ風景を見ていると感じ、とても興奮したことをよく覚えている。

噴水の前で、リアルの友人と待ち合わせする。やってくる友人。チャットの開き方が分からない僕は10分くらい何もしゃべれないでいたが、察しのいい友人が「エンターでチャット」と教えてくれた。

画面の下側に開くチャット入力欄。言葉を入力する。音としての量はゼロだが、とても大きな声となり画面に反映される。ついに自分もこの世界の仲間になることができた。

 

それからは、毎晩時間が許す限り、皆で集まりレベル上げをした。二人、前からプレイしていた人がいるので彼らに助けを乞いながら順調に成長していった。

そしてすぐにシステムやマナーを理解して自分一人でもう一つの世界を旅するようになった。

 

数か月後、友人は飽きてきて、リアルの友人でのプレイヤーは2人くらいになってきた。彼らとは一緒に狩場へ行くことはなく、それぞれの居場所にいた。

 

一方の僕は、いまいち安定した居場所を見つけられずにさまよい続けていた。

 

そんな中、出会いが訪れる。

それは、しっかりと計算されて育成された2キャラ目をメインキャラとして運用していた時だ。

僕はとりあえず所属するギルドを探していた。そのキャラはギルドバトル用に育成されたキャラクターだった(今思うと装備があまりそろっていなくて入っても足手まといになりかねない)。

古都でギルドを探していると叫んでいると、ある人から耳打ちがあった(この人を僕はこの先引退するまでマスターと呼び続ける)。

そして、特に断る理由もなかったのでそのギルドに所属することになった。

 

結構大きなギルドで、僕も名前くらいは聞いたことがあった。メンバーにはリアルでの友人の兄もいた。

このギルドでこの先過ごすことになるのかと思ったら、なんとこのギルドが解散する予定であることを知らされた。

ギルドマスターが近いうちに引退するそうだ。ギルドマスターは引き継がれるのではなく、ギルド自体解散するようだ。

それに伴い今までのメンバーは新しいギルドへと配属されることになる。そこでの新しいマスターが先ほど僕をギルドに誘ってくれた人だった。つまり、僕を新しいギルドの方へ誘っていたわけだ。準備が整うまでここでキープするといった具合か。

 

そして、新しいギルドに移籍した。旧ギルドと新ギルドでギルドバトルを最初にしたのを覚えている。僕は1KILLした。

 

新しいギルドは小さかった。メンバーは20人ほどで、ギルドマスターが一人だけで他は一般メンバーだった。

少人数だったせいか、すぐに打ち解けた。ログインして挨拶。ギルドホールでばったり出くわすと、そのまま何時間も話し込んでいた。

正直、学校の友人と話しているより楽しかった。同年代から40歳くらいの人間まで、様々な人と話した。

 

ある日、ギルドバトルを終えた後にギルドホールで反省会という名目で駄弁っていると、マスターが言った。

「誰か、副ギルドマスターを2人でやってくれないか」

ログイン率が高い人にお願いしたいとのことだ。何の気まぐれか、僕は自分がやると言った。特に反対は無く副ギルドマスターになった。もう一人は僕のひとつ年下の女の子になった。彼女とは一番歳が近かったので結構親しい方だった。

これ以降、二人で副ギルドマスターとして働くことになる。

 

とはいっても、このゲームをやったことがある人なら分かると思うが、副ギルドマスターの仕事はほとんどない。渉外関係は顔が広いマスターに任せていたし(僕は他のギルドの幹部は名前を知っている程度でほとんど話したことがなかった)、主な仕事といっても新しいメンバーを募集することくらいだ。実際そのためにログイン率が高い人に頼んでいたのだ。

 

同じ副ギルマスだからか、彼女と一緒にいる時間が一気に増えた。

他の人はギルドチャットでしゃべっている一方、二人で耳打ち会話をたくさんした。

 

また時が過ぎた。ギルドの知名度はそこそこといった感じ。

ある日マスターが言った。

「これから定期的にログイン出来なくなるからギルドバトルは無期限休止にする」

ギルドバトルをするために所属していた人メンバーはギルドを去って行った。

残ったのは僕ともう一人の副ギルドマスターとマスターだけ。

それからは3人の仲良しグループとしてギルドが運用されることになるのだった。

 

ギルドメンバーはすべて3人のキャラクターだけ。サブキャラもすべてそのギルドに所属していた。

僕がギルドを去らなかった理由は、なんだったのだろうか。あまりギルドバトルに依存していなかったからかもしれない。そこのギルドの紋章(青い薔薇)が気に入っていたかもしれない。

まぁ、自称中堅制限ギルドは3人のグループになった。

 

ギルドマスターは言っていたほどログイン率は落ちなかった。3人でたくさんの事を経験した。

 

マスターがいないときは彼女と二人でずっと話した。

プライベートなこともしゃべるようになった。どこに住んでいて、部活は何で、ゲームをやっていないときは何をしているのか。

ついには本名まで交換した。その時にはどっちが先に言うかの話で何日も使った。最終的にどっちが先に言ったのはは覚えていないが、距離は近くなっていた。

 

年末になった。僕と彼女は住所を交換して年賀状を書き合おうということになった。

僕はなれない絵を描いて送った。彼女から届いた年賀状は今でも大切にとってある。

 

そしてまた時が過ぎた。僕は高校受験の年になった。ログイン率が落ちてきて会うことも減ってきてしまっていた。

僕の受験が終わったと思ったら次は彼女が受験生だ。あまり話す機会がない。

そのうち僕も彼女もあまりログインしなくなった。マスターにはお互い、ほとんどログインしなくなるといっていた。

 

そして長い時が経った。高校2年の時だったと思う。1年ぶりくらいにログインした。

 

そこには青い薔薇の紋章を付けた僕のキャラクターがいた。ギルドは残っていた。役職は元老になっていたけれど。

懐かしさを感じていると、チャット欄が光った。マスターだった。彼は長い間ログインしていなかった僕を暖かく迎えてくれた。そして、彼と昔と変わらないように世間話をした。それから1ヶ月くらいはログインし続けたが、すぐにまた現実の方が忙しくなってログインしなくなってしまった。

ログインできなくなるいうことは伝えていない。彼は今でも僕の事を覚えているのだろうか。

ちなみに年下の女の子は引退宣言をしたようだった。

 

 

そして今に至る。かれこれ5年以上ログインしていない。いまさらしてもさすがにギルドは残っていないだろう。それに何も言わずにまた姿を消した僕の事をどう思っているのか不安なのである。文句を言われるかもしれない。マスターも引退していてもう会えないのかもしれない。

 

しかし、中学時代に一番通じ合った人というと顔を知らないその二人だ。彼らと自然消滅という形で永遠に別れてしまったのは悲しい。

テレビの企画で、あの人にもう一度会いたいみたいなものがあるけれど、僕が頼める立場ならその二人との再会を望む。

 

 

RED STONEは今でも続いているようだ。

サービス終了の日が来たら勇気を振り絞ってログインしようと思う。終わってほしいような終わってほしくないような複雑な感覚である。

 

 

最後に、こんなブログを二人が見ているわけはないが、ネットの海にメッセ―ジを残しておきたい。

 

 

妖精、マスター、僕は元気にしているよ。サービス終了の時が来たらログインするから。皆もログインしてくれ。そして、今までの話をしよう。たくさん話したいことがあるんだ。

チョコより