お題スロットとかいう機能に頼ってしまった。
お題は「お気に入りの文房具」になった。
実はこれを書くまでに、記事を3回ほど書いては消してといったことをやっている。だからこれも消される運命になるかもしれない。
僕は物持ちがいい方だ。中学1年から高校3年まで同じペンケースを使ったし、消しゴムは使い切るまで使っている。
そのなかでも、一番気に入っていた文房具があった。
無印良品の105円のシャープペンシルだ。中学1年生の時に買ってつい最近まで現役だったし、毎回そのシャープペンシルを使ってノートを取っていた。
それは僕にとって、とても105円とは呼べないような出来の良いものだった。
少し曇りがかった透明なプラスチックに包まれた、少し硬めのノック感。反発が強いのが気に入っていた。
その作品と出会ったのはファミリーマートだった。ファミリーマートの片隅にある無印良品の品物がおいてあるところ。
時間も覚えている。夕方だ。
塾へ向かう途中、ペンケースを忘れたことに気付いた。消しゴムは塾にたくさん新品のものが置いてある。だから、シャープペンシルだけ入手しようと思って、ファミリーマートに寄った。
そして、適当に安い105円のそれを買ったのだ。
塾で授業を受けているときに、初めて使ったが、ノックの強い反発に感動し、次の日からそれをずっと使い始めた。
当時、中学校では一種の文房具ブームみたいなものがあった。小学校ではシャープペンシル禁止だったせいもあってか、皆なかなか凝ったシャープペンシルを使っていた。
中でも人気だったのが持つところがウニウニしたゲルでできている、手にフィットするとかいうシャープペンシル。
そんな中に僕は105円の何も装飾のない無印良品で殴りこんだ。
もちろん何も注目を得ることはなかったが、皆が無駄に凝った1000円近いようなものを使っている中、それより使い心地の良いシャープペンシルを僕しか使っていないという優越感がとても心地よかった。
数週間が過ぎた。中学に入って最初の定期テストが終わって順位が発表された。自分でいうのもなんだが、私は頭がよい方だ。さらに田舎の公立中学校である。全国で言ったら学校全体の偏差値は45くらいだろう。
私はそのテスト相当良い成績を取った。残念ながら1位ではなかったが。
自然なことであるが、だれがどれだけの成績を取ったか周りは騒ぎ出す。そして僕がよい成績であることを知る。
そして、テストの点の次に皆は何に注目するかというと、使っているシャープペンシルである。
僕は、自慢げに誰も使っていない105円の無印良品を掲げる。すると、面白いことにそのシャープペンシルで勉強すると頭がよくなるという噂が流れ始めた。
「あいつが使ってるらしいぞ」といった具合に。
次の日から、凝った作りの物から105円の無印良品へと乗り換える人が増えた。一躍そのシャープペンシルは学年でシェアNo.1を取ったのだった。
とはいっても、多くの人は数週間でまた別のシャープペンシルを使い始めるのだが。
僕はずっとそのシャープペンシルを使っていたのだった。
さて、最近の話である。
そのシャープペンシルをつい最近まで使っていたといったが、壊れてしまったわけではない。思い出すだけで悔やまれる。
大学で、知り合いがペンを忘れた。というわけで優しい僕は、そのシャープペンシルを一日だけ貸したのだ。芯が入っているところはもう真っ黒になってしまった、お気に入りの105円の無印良品を。
もちろん、そんなシャープペンシルだ。次の日も、また次の日も、冬休みを開けても返ってくることはなかった。一度勇気を出して「あの時のシャーペン返して」って言ったが、「あー、今度返す」という返事だけ。次に会ったときには覚えている様子はなかった。
悔しかったが、8年近く付き合ったそいつと別れることにした。今頃どこで何をしているのだろうか……
すぐに同じものを買おうと無印良品へ向かった。似たものはあったが、まったく同じものは無かった。もう売ってないのかな。
と書いていたら諦めきれなくって、無印良品のオンラインショップを今見た。
同じものはやっぱないな……と思ったら、パーツごとに売っているではないか! 感動して即注文した。ありがとう。愛してる。
同じ商品は手に入りそうだが、8年連れ添ったあいつは帰ってこない。新しく届くシャープペンシルにもそれだけ愛着を持つことができるのだろうか。
あっ、あと一つ。ルーズリーフはA4の5mm方眼。これだけは譲れない。